1月 14

「本能はどこまで本能か」。魅力的なこのタイトルを見てついつい買ってしまったのだ。「本能」とはいったい何なのか?動物や人間の「本能」は、神が創造し与えた能力なのだろうか?と思いにふけりつつ読み始めたのだ。

この本は、「本能」と呼ばれるものは、どこからくるのだろう?それは生得的で、経験とは無関係でなければならないのだろうか?また、これらの見事な行動は、遺伝子によってプログラムされているのか、あるいは環境によって形成されるのか?そもそも、遺伝要因と環境要因のふたつにわけるなどということが簡単にできるのだろうか?そして、進化はどうかかわっているのか?
「本能」という言葉にごまかされずに、行動とその発達について深く追求していけば、遺伝子、細胞、行動、物理的・社会的・文化的環境が能動的に相互作用して、われわれの行動と認識を形づくっているのが見えてくる。気鋭の神経学者である著者が「本能」論争を解説し、行動の起源を探ることの重要性に迫った科学ノンフクションである。

動物や人間の本能的な行動は、思いつくだけでも沢山ある。例えば、鮭は自分の生まれた川を溯上する。人間の幼児は誰も教えないのに、立ち上がって二足歩行を始める。などなど、言い出したらきりがないほどこの「本能」的行動は沢山ある。

本書から引用するなら

本能というものを理知的に捕らえようとする無数の知識人による-プラトンからチャールズ・ダーウィンを経て今日にいたるまでの-試みは、いくつかの重要な疑問を中心に展開してきた。すなわち、合理的で知性的な思考は人間の心だけが持つ特性なのか?もしそうなら、動物の行動と生物学的な欲求との驚くべき合致はどう説明されるのか?この合致は、ある種の知性が働いていることの現われではないのか?だが、そのある種の知性とは何なのだろう。それは動物の内部から生じる合理的な知性なのか、それとも外部から注入される天与の知性なのか?子はどういう仕組みで親の本能を受け継ぐのか?経験は関係しているのか?本能は、一般に思われているようにただいきなり完成したかたちで現れるのではなく、むしろ経験の蓄積を通じて発達するという可能性もあるのではないか?その過去の経験が、ひょっとすると動物が日の光を見る前から、既に子宮や卵子に影響を与えはじめているとは考えられないか?

と。そんな「本能」について

第一章「羊番の心理」では、本能の複雑さと、それをめぐる多数の問題を考えている。

第二章「設計者という考え」では、生物学的世界を設計の産物として見ようとする人間の性向と、その性向が如何に本能に対する私たちの見方を曇らせているのかを見ている。

第三章の「気味の悪い話」と第四章の「境界線の問題」では、私たち人間の一般的な本能の定義には、本能が遺伝子によって設計され、制御されているという意味合いが含まれているのだが、遺伝子機能の正確な概念を知り、生物学的に妥当な経路で本能の起源に迫っている。

第五章「本能を発達させる」では、発達の観点から見た本能の分析がどれだけ重要な貢献をしてきたのかを。

第六章「人間を縛るもの」では、人間の本能に関心を寄せる進化心理学者の主張を検証している。

第七章の「生得論者はとまらない」と第八章の「群れから迷い出て」では、本能的な行動や、その生物学的な基盤、発達の起源について、どれほど筋の通った新鮮な概念が得られるまでを分析している。

このような流れで本書は、今まで一般的に信じられている概念を一つ一つ検証していくのだが、自分の知識としてもかなり間違った知識が植えられている事が、この本から得られる。例えば、遺伝子一つにしてもそうである。遺伝子には基本的に「本能」を司る記述があると勝手に思っていたのだが、実はそうではなく、あくまでもたんぱく質の生成を指示するだけである(違ったらすいません)など、いかに検証されていない、あいまいな理論を知識としているのかを沢山発見出来るのだ。

動物の基本的な行動が何故、そのように行動するのかを解き明かす事は楽しいし、人間にも相通じるところがあったりもするのではないだろうかとも思えてしまう。ダーウィンの「種の起源」を読んだのは学生時代で、すっかり記憶にはないのだが、そういえばそんな事が書いてあったかもとか、昔読んだ「利己的な遺伝子」の過去の記憶を遡りながら読んでいるうちに一週間以上もかかってしまったのだが、少々難しい内容ではあるが読み進むとなかなか面白い本である。

本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源
本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源 マーク・S. ブランバーグ Mark S. Blumberg 塩原 通緒

早川書房 2006-11
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