ぶらり旅の記事がたいぶ続いたので、ここらでちょっと違ったお話を。
気象庁主催の気象講演会「伊勢湾台風から50年、数値予報業務50年ー台風情報の進化とそれを支える技術の発展ー」というものに行ってきた。かなりオタクなイベントではある。
講演内容は
「台風災害と台風予報」
気象庁予報部予報課長 高瀬邦夫
「数値予報の発展と歩みと未来」
東北大学大学院理学研究科教授・理学博士 岩崎俊樹
「台風防災と気象情報」
NPO法人気象キャスターネットワーク監事・気象予報士 高田 斉
の3つだ。
最初の講演に若干送れて会場へ到着。最初の講演「台風災害と台風予報」の最初は聞くことが出来なかったのだが、気象庁が今行っている台風情報についてのお話。気象庁で天気予報を出している人から直接話を聞く機会など滅多にない。
現在の台風の予報は、観測から50分後に発表されているらしい。単純に言うと発表時には50分前の情報を聞いていることになる。そこで現在は、1時間後の推定位置の情報を提供している。これだと、観測時点から1時間後なので発表から10分後の位置の情報がわかる。
また、台風情報では、台風の強さと進行方向の情報が大切で台風の予想進路はほぼ予測できるようになっているらしい。また強さの精度もかなり向上しているという話を伺えた。
因みに、予想進路は強い台風ほど精度が高いらしい。
次の東北大学の岩崎教授の「数値予報の発展と歩みと未来」では、天気予報の歴史と数値予報の技術的なお話であった。
天気予報の歴史では
1820年:世界初の天気図が描かれる。
1862年:世界初の天気予報が行われる。
1904年:数値予報の提唱があった。
1921年:世界で初めて数値予報が行われる。
1950年:コンピュータによる数値予報が行われる。この時使われたコンピュータは言わずと知れた世界初のコンピュータのENIACが使われたそうである。
1954年:コンピュータによる数値予報が開始される。
1980年:日本でコンピュータによる数値予報が開始される。
といった感じで日ごろお世話になっている天気予報にはこんな歴史がある。
現在の数値予報は、このブログでも以前触れたことがあるが全球モデル式で予報が行われている。これは地球上のある一定の高度を格子上にとし、その各座標の各種大気状態を表す物理量の計算式を組み込んだものである。
ん~、なんだか専門的になってきたが、地球上の空を50km単位の点での大気の状態を計算して、それを地球全体で計算して、今の状態を求めて、そこから未来を予測するといった感じだ。
もっと詳しいことが知りたい方は wikipedia の 数値予報 を参照いただきたい。
まあ、簡単に言えば数値予報は、物理学と数学とコンピュータで出来上がっているということだな。
数値予報に使われるデータ観測の最新の方法では GPS衛星とその電波を受けるレシーバ衛星間でGPS衛星から発せられた電波の大気中の屈折率を利用して大気の状態を観測する技術があるそうである。日ごろ聞いている天気予報の裏には、凄い科学技術の集大成があることを思い知らされた時間であった。
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